臨床神経学

総説

ベーチェット病およびその類縁疾患スウィート病における神経障害の病因・診断・治療

久永 欣哉1)*

Corresponding author: 国立病院機構宮城病院脳神経内科,臨床研究部〔〒989-2202 宮城県亘理郡山元町高瀬字合戦原100〕
1)国立病院機構宮城病院脳神経内科,臨床研究部

ベーチェット病やスウィート病は皮膚・粘膜病変が主症状であるが,神経病変を伴うこともあり神経ベーチェット病や神経スウィート病と呼ばれる.これらの疾患は口腔粘膜の感染やそれに続くサイトカインの上昇などが誘因となった好中球の過剰な機能亢進によって異所性に脳炎や髄膜炎などが引き起こされる病態と考えられる.神経病変が皮膚・粘膜病変より先に顕在化して診断に苦慮することもあるが,好中球の過剰な機能亢進を示唆する所見があれば神経好中球病と暫定診断し,好中球をターゲットにした初期治療を考慮すべきである.ベーチェット病ではゲノムワイド関連解析により様々な免疫関連因子が関与した多因子疾患であることが解明されている.
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(臨床神経, 59:1−12, 2019)
key words:神経ベーチェット病,神経スウィート病,神経好中球病,ヒト白血球抗原,インターロイキン

(受付日:2018年10月8日)