臨床神経学

症例報告

首下がりで発症した原発性副甲状腺機能亢進症性ミオパチーの1例

太田 浄文1)*, 小関 紗代2), 池上 謙次3), 大西 威一郎4), 冨滿 弘之1), 新谷 周三1)

Corresponding author: JAとりで総合医療センター神経内科〔〒302-0022 茨城県取手市本郷2丁目1-1〕
1)JAとりで総合医療センター神経内科
2)JAとりで総合医療センター内分泌代謝内科
3)JAとりで総合医療センター耳鼻咽喉科
4)東京医科歯科大学医学部附属病院病理部

症例は75歳女性.約6カ月で進行する首下がり精査のため入院した.頸部筋力はMMT 3レベル,四肢近位筋MMT 4レベルの筋力低下を認めた.針筋電図で低振幅短持続のMUPを認め筋原性変化であった.三角筋の筋生検は異常なし.血清Ca 11.8mg/dl,P 2.3mg/dl,intact PTH 104pg/mlと副甲状腺機能亢進症の所見であった.画像検査で副甲状腺腫を認め,原発性副甲状腺機能亢進症性ミオパチーと診断し腺腫摘出術後に症状は速やかに改善した.首下がりが初発症状となる原発性副甲状腺機能亢進症性ミオパチーは稀であるが根治可能であり見逃さずに治療しなければならない.
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(臨床神経, 58:193−197, 2018)
key words:首下がり,副甲状腺機能亢進症,ミオパチー,副甲状腺腫

(受付日:2017年12月4日)