臨床神経学

短報

90歳と超高齢で発症した視神経脊髄炎の1例

菊本 舞1)*, 野中 恵1), 竹下 潤1), 大下 智彦1), 山下 拓史1)

Corresponding author: 広島市立安佐市民病院脳神経内科〔〒731-0293 広島県広島市安佐北区可部南2丁目1番1号〕
1)広島市立安佐市民病院脳神経内科

症例は91歳女性である.90歳時に右眼の視力低下が出現し,右視神経炎と診断された.その3ヶ月後に左視神経炎を発症したが,いずれもステロイドパルス療法で改善した.91歳時に左上下肢の筋力低下が出現し,MRIで頸髄に4椎体にわたるT2強調画像の高信号病変をみとめ,ステロイドパルス療法により筋力は改善した.血清抗アクアポリン4抗体が陽性であり,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica; NMO)と診断した.その後も約1年の経過で脊髄炎は1回,視神経炎は3回も再発した.NMOは90歳以降でも発症することがあり注意が必要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (483K)

(臨床神経, 58:761−763, 2018)
key words:高齢発症,視神経脊髄炎,抗アクアポリン4(AQP4)抗体,視神経炎

(受付日:2018年8月9日)