短報
亜急性に進行する痙性対麻痺を呈し脊髄炎様画像所見を認めた局所型破傷風の1例
土屋 舞1）, 小林 史和1）, 山城 亘央1）, 長坂 高村1）, 新藤 和雅1）＊, 瀧山 嘉久1）
＊Corresponding author: 山梨大学医学部附属病院神経内科〔〒409-3898 山梨県中央市下河東1110〕
1）山梨大学医学部附属病院神経内科
35歳男性，腰痛，排尿障害が認められ，経過から脊髄炎が疑われ当院入院とした．下肢の近位筋力低下と，腱反射が著明に亢進しており，痙性対麻痺と考えられた．開口障害，後弓反張は認められず，髄液検査では細胞数が軽度上昇しているのみであった．入院後に膀胱直腸障害，痙縮が進行していたため脊髄炎としてステロイドパルスを施行したが，その後も増悪し，後弓反張，音・光過敏も出現した為に，破傷風の可能性を考慮し入院第13病日に破傷風トキソイドなどで加療を開始した．約1ケ月程度で症状の改善を認めた．破傷風では亜急性に進行し脊髄炎に類似する画像所見を呈する例もあり注意が必要と考え報告した．
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(臨床神経, 58：688−691, 2018)
key words：局所型破傷風，痙性対麻痺，脊髄炎，脊髄MRI高信号
（受付日：2018年6月22日）
