臨床神経学

症例報告

レストレスレッグス症候群の症状拡大と頻度増加がパーキンソン病の早期徴候と考えられた女性例

鈴木 圭輔1)*, 松原 健朗1), 宮本 雅之2), 藤田 裕明1), 中村 利生3), 平田 幸一1)

Corresponding author: 獨協医科大学内科学(神経)〔〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880〕
1)獨協医科大学内科学(神経)
2)獨協医科大学看護学部看護医科学(病態治療)
3)リハビリテーション天草病院脳神経内科

症例は57歳女性.33年間左半身の異常感覚による不眠があった.初診の前年から頻度が増加し,右下肢にも症状が出現するようになった.娘は20歳からレストレスレッグス症候群(restless legs syndrome; RLS)がある.神経学的所見に異常はなかった.血液検査では腎機能は正常で鉄欠乏や貧血はなかった.RLSと診断しプラミペキソール低用量にて良好な治療効果が得られていた.初診から1年後に右肩痛が出現し,その半年後に,右手の振戦が出現した.臨床症状,ドパミントランスポータースキャンおよび123I-MIBG心筋シンチグラフィー検査結果からパーキンソン病(Parkinson's disease; PD)と診断した.RLS症状の拡大や頻度増加時にはPDの早期徴候の可能性を考慮する必要がある.
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(臨床神経, 58:617−621, 2018)
key words:レストレスレッグス症候群,パーキンソン病,RLS症状拡大,RLS家族歴

(受付日:2018年4月11日)