臨床神経学

症例報告

早期に髄膜に形質細胞性肉芽腫を呈した再発性多発軟骨炎の1例

林 信太郎1)2)*, 赤尾 法彦3), 岡本 幸市4)

Corresponding author: 群馬リハビリテーション病院神経内科〔〒377-0541 群馬県吾妻郡中之条町大字上沢渡2136〕
1)群馬リハビリテーション病院神経内科
2)群馬大学大学院医学系研究科脳神経内科学
3)沼田脳神経外科循環器科病院脳神経外科
4)老年病研究所

症例は77歳男性である.寛解と再燃を示す嗄声の後に,左大脳表面に特異な髄膜病変が出現した.髄膜生検で,くも膜から硬膜内面にかけて多数のRussel小体を有する形質細胞を認めた.その後耳介軟骨炎と角膜炎を発症し再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis; RP)と診断した.ステロイド投与により諸症状は軽快した.RP患者の経過中に髄膜病変を生じた症例は稀で病態は不明であるが,本例では軟骨炎が段階的に出現する過程で出現したことから,両者が共通の病態に由来する可能性を示す興味ある所見と考えた.
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(臨床神経, 57:280−286, 2017)
key words:再発性多発軟骨炎,髄膜,嗄声,形質細胞,生検

(受付日:2016年10月18日)