臨床神経学

短報

MRIにて両側対称性に大脳脚から内包に病変を認めた節外性NK/T細胞リンパ腫の1例

竹内 有子1)2)*, 加賀 友継1), 家田 美保3), 小島 由美3), 落合 淳1), 馬淵 千之1)

Corresponding author: 増子記念病院神経内科〔〒453-8566 愛知県名古屋市中村区竹橋町35-28〕
1)名古屋掖済会病院神経内科
2)現:増子記念病院神経内科
3)名古屋掖済会病院血液内科

症例は72歳男性.亜急性に進行する意識障害で入院した.頭部MRI FLAIR画像では,両側視床,基底核から白質に広範な高信号域を認めた.右肺に認めた結節の生検から,節外性NK/T細胞リンパ腫(extranodal natural killer/T cell lymphoma; ENKL)と診断した.頭部MRIでは,結節を認めず,造影されないびまん性の白質病変を認めlymphomatosis cerebriと同様の病態と考えた.また,拡散強調画像では,左右対称性に両側大脳脚から内包にかけて高信号域を認め,軸索に沿った細胞密度の高い腫瘍細胞の浸潤が示唆された.中枢神経,肺のENKLは極めて希少であり,また特徴的な画像を呈していたため報告した.
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(臨床神経, 57:778−781, 2017)
key words:節外性NK/T細胞リンパ腫,lymphomatosis cerebri,拡散強調画像,肺悪性リンパ腫,Epstein-Barr virus

(受付日:2017年6月27日)