臨床神経学

症例報告

体幹ジストニアから発症したパーキンソン病の1例

安田 千春1)*, 武井 嵩展1), 魚住 武則1), 豊田 知子2), 由比 友顕3), 足立 弘明2)

Corresponding author: 産業医科大学若松病院神経内科・心療内科〔〒808-0024 福岡県北九州市若松区浜町一丁目17番1号〕
1)産業医科大学若松病院神経内科・心療内科
2)産業医科大学神経内科学講座
3)労働者健康福祉機構門司メディカルセンター神経内科

症例は67歳女性.家族歴なし.2009年より進行性の脊椎側弯が出現し2013年他院で体幹ジストニアの診断でトリヘキシフェニジル内服とボツリヌス注射が行われたが改善はなく,2015年に歩行障害が出現した.同年5月当科での[123I]-イオフルパンシンチグラフィー(以後DATスキャン)で異常をみとめ,6月当科入院時は運動緩慢,筋強剛,右優位の静止時振戦,姿勢反射障害をみとめ頭部MRIで異常なくレボドパで運動症状の改善をみとめたことからパーキンソン病と診断した.本例は体幹ジストニアが先行したパーキソニズムでありDATスキャンが診断の一助となりえた症例である.貴重な症例であり文献的考察を加え報告する.
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(臨床神経, 56:600−604, 2016)
key words:パーキンソン病,ジストニア,[123I]-イオフルパンシンチグラフィー

(受付日:2016年3月24日)