臨床神経学

短報

著明な髄液細胞数増加と髄液糖低下を呈した視神経脊髄炎の1例

藤倉 舞1), 横川 和樹1), 静川 裕彦1)*, 下濱 俊2)

Corresponding author: 札幌厚生病院神経内科〔〒060-0033 北海道札幌市中央区北3条東8丁目5番地〕
1)札幌厚生病院神経内科
2)札幌医科大学医学部神経内科学講座

症例は57歳男性である.胸部の帯状の不快感,嘔吐,頭痛,微熱が先行し,第15病日に完全対麻痺,Th5レベル以下の感覚障害,両眼視力低下が出現したため緊急入院した.MRIではC3以下の複数の長大病変と視神経の造影効果を認め,脳脊髄液検査では細胞数が1,719/μl(多核球47.5%)と著明に上昇し,糖は20mg/dlと低下していた.抗菌薬,抗ウイルス薬投与下に強力な免疫治療を行い,比較的良好な視機能予後を得たが,対麻痺は残存した.感染症を示唆する検査所見はなく,後日抗アクアポリン4抗体陽性が判明した.視神経脊髄炎でも髄液糖が低下する可能性に留意すべきである.
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(臨床神経, 56:569−572, 2016)
key words:視神経脊髄炎,髄液細胞数増加,髄液糖低下

(受付日:2015年4月17日)