臨床神経学

症例報告

抗transglutaminase 6抗体陽性のグルテン失調症と考えられた1例

佐藤 健治1)3)*, 小林 万希子2), 上田 優樹3), 田中 伸幸3), 南里 和紀3)

Corresponding author: かわさき記念病院神経内科〔〒216-0013 川崎市宮前区潮見台20-1〕
1)かわさき記念病院神経内科
2)東京医科大学神経内科
3)東京医科大学八王子医療センター神経内科

症例は81歳女性である.歩行障害を主訴に来院し,頭部MRIにて軽度小脳萎縮,脳血流シンチグラフィーでは小脳に血流低下をみとめ皮質性小脳萎縮症と診断した.タルチレリン水和物は無効であった.発症13年後に抗transglutaminase 6(TG6)IgA抗体陽性が判明し,グルテン失調症と診断した.ステロイド治療と無グルテン食治療は無効で独歩不能となった.大量免疫グロブリン療法にて,ICARS(姿勢・歩行障害)は15から11と改善した.我が国ではグルテン失調症の報告は少ないが,抗TG6抗体はその診断に有用と考えられた.
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(臨床神経, 56:413−417, 2016)
key words:グルテン失調症,抗TG6抗体,小脳萎縮症,大量免疫グロブリン療法

(受付日:2015年9月27日)