臨床神経学

総説

本邦でみられる常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症

田中 章景1)*, 土井 宏1), 國井 美紗子1)

Corresponding author: 横浜市立大学大学院医学研究科神経内科学・脳卒中医学〔〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9〕
1)横浜市立大学大学院医学研究科神経内科学・脳卒中医学

近年のゲノムシークエンス技術の進歩により,常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の新たな責任遺伝子が次々と明らかになってきている.しかし,同じような表現型を示していても責任遺伝子が全く異なる場合や,逆に同じ責任遺伝子であっても発症年齢,症状,疾患進行が大きく異なる場合があり,診断は容易ではない.また,欧米の特に小児期発症例において同定された遺伝子変異が,本邦の成人発症例においてもみられるのかどうかは,今後も引き続き検討が必要な課題である.本稿では,主として近年本邦でも存在が確認された比較的まれと考えられる劣性遺伝性脊髄小脳変性症について概説する.
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(臨床神経, 56:395−399, 2016)
key words:ANO10, SYT14, SACS, TTC19, DDHD2

(受付日:2016年2月15日)