臨床神経学

短報

脳室炎を併発し,治療に難渋した髄膜炎菌性髄膜炎の1例

中原 広明1)*, 小田 智三2), 深尾 絵里1), 堀内 泉1)3), 本間 温1), 内潟 雅信1)4)

Corresponding author: 公立昭和病院神経内科〔〒187-8510 東京都小平市花小金井8-1-1〕
1)公立昭和病院神経内科
2)公立昭和病院感染症科
3)いずみクリニック
4)蒲田リハビリテーション病院

症例は64歳男性.発熱,意識障害にて緊急入院となった.血液・髄液より髄膜炎菌が培養同定され髄膜炎菌性髄膜炎と診断し,脳MRIにて脳室炎の所見を認めた.セフトリアキソンを17日間投与し軽快したが,投与終了後に再燃を認めた.またβラクタム系抗菌薬の副作用と推定される好中球減少・腎障害が出現した.モキシフロキサシン内服に変更し外来通院を含め計12週投与したが,副作用や投与中止後の再燃は認めず終診となった.一般に髄膜炎菌性髄膜炎は抗菌薬の反応は良好であるが,脳室炎を併発した際には十分な抗菌薬治療期間が必要と考えた.
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(臨床神経, 56:344−347, 2016)
key words:髄膜炎菌性髄膜炎,脳室炎,モキシフロキサシン

(受付日:2015年10月10日)