臨床神経学

短報

心膜心筋炎の合併が疑われた抗signal recognition particle(SRP)抗体陽性ミオパチーの1例

田中 真理子1), 蒲生 直希1), 静川 裕彦1)*, 津田 笑子2), 下濱 俊2)

Corresponding author: 札幌厚生病院神経内科〔〒060-0033 札幌市中央区北3条東8丁目5番地〕
1)札幌厚生病院神経内科
2)札幌医科大学神経内科

症例は79歳女性.高CK血症・四肢近位筋の筋力低下・筋把握痛が出現し,当科に入院した.四肢筋MRIでは両側大腿筋に炎症性変化を認め,同部位の筋生検では筋線維の大小不同と壊死再生線維を認めた.抗体結果と合わせ,抗signal recognition particle(SRP)抗体陽性ミオパチーと診断した.本例では,入院時より心嚢液貯留を認め心嚢ドレナージを要した.心嚢液は滲出性であり心膜炎によるものと考えられた.また病勢の悪化に伴い,心電図前胸部誘導における陰性T波や心室性期外収縮・非持続性心室頻拍が出現した.これらの異常は,病勢の軽快とともに改善したことから,抗SRP抗体陽性ミオパチーに伴う心膜心筋炎と考えられた.
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(臨床神経, 56:862−865, 2016)
key words:抗SRP抗体,ミオパチー,心筋炎,心膜炎,心電図異常

(受付日:2016年5月24日)