臨床神経学

原著

本邦におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの診療実態

松村 剛1)*, 小牧 宏文2), 川井 充3)

Corresponding author: 独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科〔〒560-8552 大阪府豊中市刀根山5-1-1〕
1)独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科
2)国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科
3)独立行政法人国立病院機構東埼玉病院神経内科

神経内科・小児神経専門医を対象に,デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドラインの発刊前アンケートを行った.小児は大学病院や総合病院,成人は合併症管理や入院対応が可能な国立病院機構等の病院が中心的役割を果たしていた.多くの専門医は本症の診療に専門家の支援を求めていた.ステロイドや心筋保護薬の認知度は高い一方,遺伝子検査時の同意取得,側弯症定期評価,排痰補助装置利用,呼吸器使用患者の災害準備,保因者の医療管理等に改善すべき課題が見られた.筋力増強訓練の実施も多く,過用が懸念された.今回の結果を踏まえた広報活動を実施すると共に,数年後に再調査を行いガイドラインの有効性を評価したい.
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(臨床神経, 55:637−645, 2015)
key words:デュシェンヌ型筋ジストロフィー,診療ガイドライン,診療実態調査,アンケート,標準的医療

(受付日:2015年3月10日)