臨床神経学

短報

高安動脈炎に合併した肥厚性硬膜炎の1例

西川 将平1), 川口 典彦1), 藤盛 寿一1)*

Corresponding author: 東北薬科大学病院神経内科〔〒983-8512 仙台市宮城野区福室1-12-1〕
1)東北薬科大学病院神経内科

症例は71歳の女性である.20歳代に高安動脈炎と診断されていた.右側頭部痛のため当科を受診し,頭部MRIにて右大脳半球硬膜に造影増強効果を伴う肥厚を認め,肥厚性硬膜炎と診断した.3か月後に右側頭部痛は自然軽快したが,左眼周囲の痛みや左眼の見え方の違和感が出現した.頭部MRIでは右大脳半球硬膜肥厚は改善していたが,左眼窩に近接する硬膜に造影増強効果を伴う肥厚を認め,左眼窩上面や左上直筋への炎症の波及を伴っていた.ステロイド治療により軽快した.高安動脈炎は大血管を病変の主座とするが,小血管病変や他臓器病変の合併例も報告されている.高安動脈炎に合併した肥厚性硬膜炎の希少な1例と考え報告する.
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(臨床神経, 55:940−942, 2015)
key words:肥厚性硬膜炎,高安動脈炎,大動脈炎,大血管炎

(受付日:2015年5月1日)