臨床神経学

症例報告

全身痙攣で発症し,頭部MRIが診断に有用であったリウマチ性髄膜炎の1例

山下 和哉1), 寺崎 泰和1), 坂口 学1), 中辻 裕司1), 吉崎 和幸2), 望月 秀樹1)*

Corresponding author: 大阪大学医学部附属病院神経内科・脳卒中科〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2〕
1)大阪大学医学部附属病院神経内科・脳卒中科
2)大阪大学医学部附属病院呼吸器・免疫アレルギー内科

症例は65歳の女性である.47歳時に関節リウマチと診断され,内服治療により良好にコントロールされていたが,今回全身痙攣を発症した.頭部MRI FLAIR画像にて左前頭頭頂葉のくも膜下腔に高信号をみとめたため,くも膜下出血が疑われ経過観察となった.1か月後に右下腿から拡大する感覚障害と右不全麻痺が出現し,頭部MRIでは病変の拡大,ガドリニウム造影T1WIで軟膜の増強効果をみとめた.リウマチ性髄膜炎と診断し,ステロイドパルス療法により症状と画像所見の改善が得られた.リウマチ性髄膜炎はまれではあるが,MRIが診断に有用であり,特徴的な画像所見から本症を疑うことが重要である.
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(臨床神経, 55:926−931, 2015)
key words:リウマチ性髄膜炎,MRI,軟膜炎

(受付日:2015年6月22日)