臨床神経学

症例報告

頭部MRIにて側脳室に集束する扇状の多発線状造影病変をみとめたlymphocytic primary angiitis of the central nervous systemの1例

奥宮 太郎1)*, 景山 卓1), 田中 寛大1), 神辺 大輔1), 新出 明代1), 末長 敏彦1)

Corresponding author: 天理よろづ相談所病院神経内科〔〒632-8552 奈良県天理市三島町200番地〕
1)天理よろづ相談所病院神経内科

症例は48歳男性である.進行する認知機能障害と手指の震えを主訴に来院した.診察にて前行性健忘を主体とする認知機能障害と両手指に姿勢時振戦をみとめた.頭部MRIにて大脳白質から側脳室に集束する扇状の線状造影効果をみとめた.脳生検にて血管周囲に肉芽腫をともなわないリンパ球浸潤をみとめ,lymphocyticprimary angiitis of the central nervous system(PACNS)と診断した.副腎皮質ステロイド投与により症状と画像所見は改善した.亜急性の認知機能障害を呈する患者に本MRI所見をみたばあいは,鑑別診断にlymphocytic PACNSをふくむべきであると思われた.
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(臨床神経, 54:709−714, 2014)
key words:中枢神経原発血管炎(PACNS),血管炎,MRI,脳静脈,脳症

(受付日:2013年10月10日)