臨床神経学

短報

進行性の四肢脱力,呼吸不全を呈した抗ミエリン関連糖蛋白抗体関連脱髄性ニューロパチーの1例

結城 奈津子1)*, 吉岡 亮2), 堀尾 玲子1), 大道 卓摩1), 安田 怜1), 岡 伸幸3)

Corresponding author: 国立病院機構舞鶴医療センター神経内科〔〒625-0052 京都府舞鶴市字2410番地〕
1)国立病院機構舞鶴医療センター神経内科
2)国立病院機構舞鶴医療センター臨床研究部
3)国立病院機構南京都病院神経内科

症例は79歳の男性である.緩徐進行性の両手握力低下を主訴に当科を受診した.左側優位の上肢脱力,腱反射低下を呈し,表在感覚,深部感覚は正常であった.神経伝導検査で感覚運動神経の脱髄が示唆され,腓腹神経生検で髄鞘周期間線の開大,髄鞘のinfoldingがみとめられた.IgM-κ型M蛋白血症,抗myelin-associatedglycoprotein(MAG)抗体がみとめられ,抗MAG抗体関連脱髄性ニューロパチー(MAG-N)と診断した.発症から3年後に四肢脱力,呼吸障害を呈した.MAG-Nは感覚優位の障害を特徴とする疾患であるが,本症例では運動障害が主症状であった.
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(臨床神経, 54:671−674, 2014)
key words:抗ミエリン関連糖蛋白抗体,末梢神経障害,四肢不全麻痺,呼吸不全

(受付日:2013年10月2日)