臨床神経学

症例報告

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断されていたDOK7型筋無力症の1例

西川 敦子1), 森 まどか1)*, 岡本 智子1), 大矢 寧1), 中田 智彦2), 大野 欽司2), 村田 美穂1)

Corresponding author: 国立精神神経医療研究センター病院神経内科〔〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1〕
1)国立精神神経医療研究センター病院神経内科
2)名古屋大学医学系研究科神経遺伝情報学

症例は26歳の女性である.出生時に呼吸不全,筋力低下があり,5歳時,顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと臨床診断されていた.歩行の可否などが週単位で変動した.12歳時,プロテカロール塩酸塩で変動が改善,内服を継続した.26歳時,当院受診.眼瞼下垂,顔面・体幹・四肢近位筋の筋力低下,易疲労性があり,血清CK正常,抗アセチルコリン受容体抗体と抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体は陰性,僧帽筋の反復刺激試験でwaning現象をみとめた.DOK7遺伝子に新規変異をみとめ,先天性筋無力症候群と確定診断した.症状はアンベノニウム塩酸塩で悪化し,3,4-ジアミノピリジンで改善した.筋力低下の週から月単位の変動は診断に重要である.
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(臨床神経, 54:561−564, 2014)
key words:先天性筋無力症候群,3,4-ジアミノピリジン,終板AChR欠損症,DOK7,眼瞼下垂

(受付日:2013年8月19日)