臨床神経学

症例報告

中枢神経症状をともない腎生検にて確定診断をえた血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

金澤 有華1), 萩原のり子1)*, 松尾 龍1)2), 荒川 修治1), 吾郷 哲朗2), 北園 孝成2)

Corresponding author: 九州労災病院脳血管内科〔〒800-0296 北九州市小倉南区曽根北町1番1号〕
1)九州労災病院脳血管内科
2)九州大学病院腎高血圧脳血管内科

症例は60歳男性である.発熱,頭痛,回転性めまいを主訴に来院した.軽度の失調性歩行を呈し,MRI拡散強調画像で左頭頂葉に線状の高信号域をみとめた.血清LDHと可溶性IL-2受容体の上昇から血管内リンパ腫がうたがわれたが,初回の皮膚・骨髄生検では診断にいたらなかった.2ヵ月後,左上肢の感覚障害が出現し,右前頭葉,両頭頂葉に新規病変をみとめた.全身検索の結果,体部CTで両腎に多発性低吸収域をみとめ,腎生検で組織学的に血管内大細胞性B細胞リンパ腫と診断した.本疾患は比較的まれであるが,急速に進行し予後不良となるばあいもあるため,すみやかな全身検索により適切な生検部位を確定し,早期診断に努めることが重要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (5936K)

(臨床神経, 54:484−488, 2014)
key words:血管内リンパ腫,可溶性IL-2受容体,腎生検,皮膚生検,rituximab併用CHOP療法

(受付日:2013年8月19日)