臨床神経学

原著

Transient neurological attacks(TNAs)の重要性
〜Transient ischemic attack(TIA)アンケートから〜

植村 順一1)*, 井上 剛1), 青木 淳哉1), 佐治 直樹1), 芝崎 謙作1), 木村 和美1)

Corresponding author: 川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕
1)川崎医科大学脳卒中医学教室

発症1週間以内の虚血性脳血管障害患者200人に対して,「TIA(transient ischemic attack)」知識の有無,一過性の神経症状がみられた頻度,医療機関を受診したかを調査した.184人から回答をえられた.93%が「TIA」を知らなかった.一過性神経障害の既往を33人(18%)にみとめたが,13人(42%)は「TIA」の定義に当てはまらない神経症状(transient neurological attacks; TNAs)だった.TNAsの症状は一過性のめまい,両足の脱力,口唇部のしびれだった.一過性神経障害のあった33人中,17人(52%)は病院受診していなかった.TNAs既往患者は,椎骨脳底動脈系虚血患者に有意に多く,TNAsの症状を呈した患者は,椎骨脳底動脈系の精査が必要と思われる.
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(臨床神経, 54:480−483, 2014)
key words:transient ischemic attack(TIA),transient neurological attacks(TNAs),後方循環系

(受付日:2013年8月12日)