臨床神経学

原著

特発性脊髄硬膜外血腫の16症例の臨床分析
―脳卒中との類似点を中心に―

原 直之1)3), 大隣 辰哉2), 西原 伸治2), 大田 泰正2), 栗山 勝1)*

Corresponding author: 脳神経センター大田記念病院脳神経内科〔〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-6-28〕
1)脳神経センター大田記念病院脳神経内科
2)脳神経センター大田記念病院脊椎脊髄外科
3)現:広島市民病院神経内科

特発性脊髄硬膜外血腫16例の臨床分析をおこない,脳卒中と類似した点を検討した.初診時に片麻痺を示す症例が10例(62.5%)で,ホルネル症候群を4例(25%),無痛性の発症を1例(6.3%)みとめた.また激痛発症で迷走神経反射による意識障害をきたし,くも膜下出血様の症例もみとめた.MRI画像が確定診断に有用であり,好発部位は頸髄下部であった.横断像では血腫は,左右どちらかに偏った楕円形が多く,偏在性の脊髄圧迫が片麻痺出現の要因である.発症は活動時に多く,関連要因は,抗血栓剤内服,C型肝炎,慢性腎不全などをみとめた.急速進行例は,緊急手術の適応になるが,保存的治療も可能であり,予後も良好であった.
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(臨床神経, 54:395−402, 2014)
key words:特発性脊髄硬膜外血腫,脳卒中様発症,片麻痺,ホルネル症候群,MRI

(受付日:2013年8月13日)