臨床神経学

症例報告

ゴルフによる一側椎骨動脈解離が原因となった頸髄梗塞の1例

徳元 一樹1)*, 上田 進彦1)

Corresponding author: 石切生喜病院神経内科〔〒579-8026 東大阪市弥生町18番28号〕
1)石切生喜病院神経内科

症例は68歳男性である.ゴルフスウィング後に項部痛と両肩の脱力を自覚した.意識清明で脳神経系に異常なく両側の三角筋と上腕二頭筋の筋力が低下していた.頭部MRI,頸椎MRIで脳幹梗塞や頸椎硬膜外血腫はみとめず数時間後に両上肢筋力は軽度改善し脊髄震盪と診断された.翌日,高度四肢麻痺を呈し入院した.去痰困難,呼吸筋麻痺も出現し人工呼吸器管理となった.入院後の画像検査で頸髄病変が顕在化し右椎骨動脈は起始部から描出されず血管腔に解離所見をみとめた.一側椎骨動脈解離による頸髄梗塞は後方循環系脳梗塞にくらべると非常にまれだが報告例があり本症例もゴルフによって生じた右椎骨動脈解離が頸髄梗塞の原因と考えた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (5066K)

(臨床神経, 54:151−157, 2014)
key words:ゴルフ,椎骨動脈解離,頸髄梗塞,脊髄梗塞

(受付日:2013年6月10日)