臨床神経学

<Symposium 03-4> 神経疾患における睡眠障害

認知症における睡眠障害

岡 靖哲1)

1)愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センター〔〒791-0295 愛媛県東温市志津川〕

認知症患者では睡眠障害が高頻度にみられる.睡眠覚醒調節機構の障害に加え,感覚器からの入力低下,社会的活動の減少も加わり,概日リズム睡眠障害を生じやすい.加齢にともなって増加する睡眠障害や,中枢神経病変にともなうレム睡眠行動異常症も共にみられる.概日リズムと深く関連するメラトニンは,認知症患者においては分泌ピークが偏移し,振幅も低下しており,体内時計機構に即したアプローチが求められる.光環境を調節し,日中の活動性を高めることが治療の基本となるが,メラトニンも夜間の睡眠に改善に有効である.認知症患者の睡眠の改善は,認知症のマネジメントの上でも重要であり,対処可能な睡眠障害を的確に治療することが望ましい.
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(臨床神経, 54:994−996, 2014)
key words:認知症,睡眠障害,体内時計,メラトニン

(受付日:2014年5月21日)