臨床神経学

<Symposium 03-1> 神経疾患における睡眠障害

神経筋疾患と睡眠障害

川井 充1)

1)国立病院機構東埼玉病院〔〒349-0196 埼玉県蓮田市黒浜4147〕

神経筋疾患においては呼吸障害と睡眠障害は不可分の関係にある.デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは低酸素血症がはじめにあらわれるのはREM睡眠期で,進行すると持続的になる.呼吸筋力低下と上気道の閉塞が原因である.主な症状は朝の覚醒不良,頭痛,食欲低下である.睡眠の分断は日中の過眠に結びつく.人工呼吸器装着によって換気が保たれるとほとんどの問題が解決する.一方,筋強直性ジストロフィー1型では呼吸筋病変に加えて中枢神経の異常による呼吸調節障害と睡眠障害が存在する.比較的呼吸筋病変が軽い段階から睡眠中の低酸素血症が出現することがある.日中の過眠も重要な症状である.人工換気によって低酸素血症を是正しても過眠は消失しない.
Full Text of this Article in Japanese PDF (247K)

(臨床神経, 54:984−986, 2014)
key words:デュシェンヌ型筋ジストロフィー,筋強直性ジストロフィー,睡眠障害,過眠,夜間低酸素血症

(受付日:2014年5月21日)