臨床神経学

<Progress of the Year 2014 03-4> 脱髄性疾患の新たな切り口

炎症性脱髄病巣におけるミクログリアの役割

山ア 亮1)

1)九州大学大学院医学研究院神経治療学〔〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出2-12-16-304〕

実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルマウスの脱髄病変で活性化しているマクロファージには中枢神経ミクログリア由来のもの(MiDM)と末梢血単球由来のもの(MDM)があり,それぞれに特有の機序で病態形成に寄与する.単球は急性期に脊髄内に浸潤し脱髄を惹起するのに対し,ミクログリアは疾患ピーク時から回復期にかけて活性化し,髄鞘残渣を貪食する.MiDMとMDMは遺伝子発現パターンも大きくことなっており,これらの個別機能解析は脱髄性疾患のみならず他の神経炎症性疾患の病態解明および治療法開発に重要と思われた.
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(臨床神経, 54:981−983, 2014)
key words:多発性硬化症,実験的自己免疫性多発脳脊髄炎,単球,ミクログリア,マクロファージ

(受付日:2014年5月23日)