臨床神経学

<Symposium 18-4> 日常診療の中の神経心理学

認知症と神経心理学

森 悦朗1)

1)東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学分野〔〒980-8575 仙台市青葉区星陵町2-1〕

認知症では認知機能の異常が主たる症状であり,その評価や解釈が神経心理学そのものである.心理士がおこなう神経心理検査を指すのではなく,神経学的検査の一環として神経心理学がある.その役割として,局所徴候の診断はもちろん,認知機能の障害パターンから鑑別診断に供すること,能力障害を推測し,生活上の問題を予測すること,重症度,進行速度,治療に対する反応を計測することなどが挙げられる.変性疾患による失語症,行動神経学的徴候,視知覚障害と幻視を例として挙げて,認知症を対象にした神経心理学を拡張的神経心理学と呼んで論じた.
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(臨床神経, 54:1095−1097, 2014)
key words:認知症,神経心理学,行動神経学

(受付日:2014年5月23日)