臨床神経学

<Symposium 14-4> 今開かれる筋ジストロフィー治療の扉

筋強直性ジストロフィー症の治療開発

高橋 正紀1), 中森 雅之1), 望月 秀樹1)

1)大阪大学大学院医学系研究科神経内科学〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2 D-4〕

筋強直性ジストロフィーの遺伝的原因は非翻訳領域におけるリピートの異常伸長である.本症の病態は,リピートの伸長したRNAが核内で蓄積し,スプライス因子の量・質の変化を惹起し,結果生じる多様なスプライス異常であることが判明した.この機序の各段階を標的として治療法開発が進行している.なかでもリピート伸長RNAを標的としたアンチセンス核酸治療がモデル動物で有効であったことから,米国で治験が開始されている.臨床試験にあたり,希少疾患の患者集積性に加え,本邦では既存治療の標準化・均てん化も問題であり,近日運用開始される患者登録の活用が期待される.
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(臨床神経, 54:1077−1079, 2014)
key words:mRNA,スプライシング,リピート伸長,患者登録

(受付日:2014年5月23日)