臨床神経学

<Symposium 14-3> 今開かれる筋ジストロフィー治療の扉

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するナンセンス変異リードスルー誘導治療

竹島 泰弘1)

1)兵庫医科大学小児科学〔〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1〕

Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は,ジストロフィン遺伝子の異常により発症する遺伝性筋疾患であり,全症例の19%がナンセンス変異による.ナンセンス変異リードスルー誘導治療は,蛋白の翻訳過程においてナンセンス変異を読み飛ばし,機能を有するジストロフィン蛋白の発現を誘導するものである.今までに,ゲンタマイシンおよびPTC124によるDMDに対する本治療の有効性が示唆されている.私たちはゲンタマイシンより副作用の少ないアルベカシンに着目し,本薬剤によるナンセンス変異リードスルー誘導治療の医師主導治験を開始した.根治治療法のないDMDに対する有効な治療法となることが期待される.
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(臨床神経, 54:1074−1076, 2014)
key words:デュシェンヌ型筋ジストロフィー,ジストロフィン,ナンセンス変異,リードスルー誘導治療,分子治療

(受付日:2014年5月23日)