臨床神経学

短報

経皮的カテーテル心房中隔欠損孔閉鎖術により前兆のある片頭痛が消失した1例

田中 淳1)*, 薬師寺 祐介1), 南里 悠介1), 梶原 正貴2), 須田 憲治3), 原 英夫1)

Corresponding author: 佐賀大学医学部神経内科〔〒849-8501 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1-1〕
1)佐賀大学医学部神経内科
2)佐賀大学医学部循環器内科
3)久留米大学医学部小児科

症例は38歳男性である.8年前より前兆のある片頭痛があった.MRIで陳旧性脳梗塞巣があり,経食道心臓超音波検査で右左シャントを証明した.心臓カテーテル検査の結果をえて,陳旧性脳梗塞巣は心房中隔欠損に関連したものと診断した後,AMPLATZER® Septal Occluder をもちいた閉鎖術をおこなった.術後,右左シャント量は著減した.術後2年の経過中に片頭痛はなく,MRI上の新規脳梗塞もなかった.本症例は,前兆のある片頭痛には右左シャントが関与するものが存在することを支持し,心房中隔欠損症であれば同デバイスによる閉鎖術が有効である可能性を示した.
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(臨床神経, 53:638−641, 2013)
key words:片頭痛,脳梗塞,心房中隔欠損症,右左シャント,欠損孔閉鎖術

(受付日:2012年10月13日)