臨床神経学

症例報告

肺小細胞癌に合併し,癌化学療法で改善した傍腫瘍性小脳変性症とLambert-Eaton筋無力症候群の同時発症例

郡山 晴喜1)*, 京樂 格1), 山下 秀一1), 塩見 一剛1), 松元 信弘1), 中里 雅光1)

Corresponding author: 宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野〔〒889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原5200〕
1)宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野

症例は,歩行時のふらつきと複視で発症した62歳の男性である.失調性歩行と下肢の筋力低下をみとめ当科に入院した.胸部単純写真で左肺野に結節影をみとめ,経気管支肺生検で肺小細胞癌と診断した.抗Hu抗体とP/Q型抗VGCC抗体の両者をみとめ,傍腫瘍性小脳変性症とLambert-Eaton筋無力症候群の合併例と診断した.症状出現から3ヵ月以内に放射線化学療法を開始し,腫瘍の縮小にともない小脳症状と下肢の筋力低下の改善をみとめた.一般に傍腫瘍性小脳変性症は癌化学療法の効果に乏しいとされているが,症状出現から早期に癌化学療法を導入することが傍腫瘍性小脳変性症の改善に有効であると考えられた.
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(臨床神経, 53:104−108, 2013)
key words:傍腫瘍性小脳変性症,Lambert-Eaton 筋無力症候群,肺小細胞癌

(受付日:2012年7月25日)