臨床神経学

<シンポジウム(1)―2―5>心房細動に伴う心原性脳塞栓症の予防

出血性合併症に対する対策

矢坂 正弘1), 岡田 靖1)

1)独立行政法人国立病院機構九州医療センター脳血管センター臨床研究センター脳血管・神経内科〔〒810-8563 福岡県福岡市中央区地行浜1丁目8-1〕

大出血,脳内出血,頭蓋内出血のリスクとして,高齢者,日本人をふくむアジア人,脳卒中の既往,アスピリン併用,腎機能障害,低体重,ワルファリン療法が指摘されている.調整できる高血圧,高血糖,喫煙,過度のアルコール摂取を徹底的に管理することは重要である.抗血栓薬の併用を避けることや頭蓋内出血が少ない新規経口抗凝固薬を選択することも有効な方策である.大出血時には休薬,止血,および点滴によるバイタルの安定を図り,頭蓋内出血では十分な降圧をおこなう.ワルファリン療法中はビタミンKや第IX因子複合体投与を考慮する.新規経口抗凝固薬療法中は第IX因子複合体投与や内服後早期なら胃洗浄や活性炭投与を念頭に置く.ダビガトランは透析で取り除くことが期待される.
Full Text of this Article in Japanese PDF (626K)

(臨床神経, 53:997−999, 2013)
key words:ワルファリン,新規経口抗凝固薬,大出血,頭蓋内出血,第\因子複合体

(受付日:2013年5月29日)