臨床神経学

<シンポジウム(1)―1―4>パーキンソン病の初期診断

バイオマーカーとしてのα-シヌクレイン

小野 賢二郎1), 山田 正仁1)

1)金沢大学大学院脳老化・神経病態学(神経内科)〔〒920-8641 石川県金沢市宝町13-1〕

αシヌクレイン蛋白(αS)は,モノマーからオリゴマー,そしてプロトファイブリルや線維といった,多量体に凝集していくが,近年,早期中間体であるオリゴマーが毒性がより強いとされている.最近,パーキンソン病やレビー小体型認知症で脳脊髄液中αS濃度が有意に減少している一方で,パーキンソン病でαSオリゴマー濃度が上昇していることも報告されている.また,血液中でもαSオリゴマー濃度がパーキンソン病では有意に上昇しているとする報告もある.血液や脳脊髄液中αSの詳細な解析はパーキンソン病をはじめとするαシヌクレノパチーの有効なバイオマーカー開発につながる可能性がある.
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(臨床神経, 53:983−985, 2013)
key words:αシヌクレイン蛋白,凝集,オリゴマー,脳脊髄液

(受付日:2013年5月29日)