臨床神経学

<シンポジウム(1)―1―3>パーキンソン病の初期診断

経頭蓋黒質超音波診断

三輪 英人1)

1)順天堂大学医学部附属練馬病院脳神経内科〔〒177-8521 東京都練馬区高野台3丁目1-10〕

パーキンソン病患者の黒質は経頭蓋超音波検査で高輝度に描出される.高輝度変化の陽性率は90%以上に達すると認識されている.健常者の約5〜10%においても黒質高輝度変化がみとめられえる.黒質高輝度変化は,経年的に変化せず,臨床症状とも相関しないことから,神経細胞変性を反映したものではなく黒質ドパミン神経細胞の脆弱性を示すものと推定されている.黒質高輝度変化の原因は解明されていないが,組織中の鉄含有量と相関することが明らかにされている.パーキンソン病における黒質の高輝度変化は,運動症状の出現前から陽性であることから,早期診断または発症前診断への応用が期待されている.
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(臨床神経, 53:981−982, 2013)
key words:パーキンソン病,黒質,超音波

(受付日:2013年5月29日)