臨床神経学

<教育講演(3)―3>

脳肉眼観察でここまで鑑別できる

吉田 眞理1)

1)愛知医科大学加齢医科学研究所〔〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1-1〕

神経疾患の確定診断には病理診断が不可欠である.臨床診断では神経症候学や神経画像の情報が重要な役割をはたすが,画像所見は病変の部位や大きさ,脳浮腫や脳萎縮という性状を経時的に観察できる利点があるものの,病変の質的診断はあくまで,脳生検や剖検による組織学的所見によらなければ確定できない.病理診断の第一歩は,肉眼所見の観察から始まり,疾患特異的な病変分布を捉えることがポイントである.肉眼所見の正誤は顕微鏡診断のフィードバックにより確認あるいは修正・訂正され,さらに画像所見,臨床症候を裏打ちする.パーキンソニズムを呈する神経疾患の脳の肉眼所見を呈示し,その可能性と限界を概説する.
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(臨床神経, 53:919−922, 2013)
key words:神経病理的診断,肉眼的所見,組織所見,臨床診断,神経画像

(受付日:2013年5月31日)