臨床神経学

<シンポジウム(4)―16―2>パーキンソン病(PD)の自律神経障害〜全身とのクロストーク

パーキンソン病およびその関連疾患における運動時血圧調節異常

出口 一志1)

1)香川大学消化器神経内科〔〒761-0793 香川県木田郡三木町池戸1750-1〕

自律神経不全を主症状とする多系統萎縮症や純粋型自律神経不全症は運動時低血圧(EIH),運動後の血圧低下遷延と起立性低血圧増強を示す.また運動中に過剰な血圧上昇を示すこともある.一方,パーキンソン病(PD)では運動時および運動後の血圧が健常者よりも有意に低く,一部の例はEIHの症状を示す.ピーク運動時の心拍数増加が不十分なPDでは運動時の血圧上昇も不良である.しかし心臓交感神経脱支配の有無は運動時血圧の上昇には影響しない.PDの運動時血圧はlevodopa内服には影響されないので,EIHなどの血圧異常はPDの病態に起因するらしい.PDには高度ではないが明らかな運動時血圧調節障害が存在している.
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(臨床神経, 53:1379−1381, 2013)
key words:パーキンソン病,自律神経不全,運動,血圧調節,低血圧

(受付日:2013年6月1日)