臨床神経学

<シンポジウム(4)―6―5>脳卒中のリハビリ:回復期6か月の壁をこわす新しい治療戦略

半側空間無視に対するプリズム順応の臨床応用

太田 久晶1)

1)札幌医科大学保健医療学部作業療法学科〔〒060-8556 北海道札幌市中央区南一条西17丁目〕

半側空間無視は,病巣対側空間に注意を向けることが困難となる現象であり,日常生活場面において大きな影響をおよぼす.これまでに報告されてきた本症状に対する治療介入方法の中でも,プリズム順応課題は,もっともすぐれた介入方法であると考えられる.この方法は,介入効果の般化と持続性にすぐれ,また,発症からの経過日数を問わず,慢性期の患者に対しても介入効果がみとめられることが大きな特徴である.ただし,この介入効果がえられない症例も報告されている.プリズム順応効果の期待ができる症状特性を明らかにすることと,より多くの患者に効果が期待できる順応課題の実施方法を明らかにすることが今後の検討課題であると考えられる.
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(臨床神経, 53:1270−1272, 2013)
key words:半側空間無視,プリズム順応,介入,改善

(受付日:2013年6月1日)