臨床神経学

<シンポジウム(4)―5―4>プリオン病の最新情報

髄液によるプリオン病の診断と鑑別診断

佐藤 克也1)

1)長崎大学医歯薬学総合研究科感染分子解析学〔〒852-8501 長崎県長崎市坂本1丁目7-1〕

プリオン病の診断において病気の進行を考え,発症早期に正確に診断することが重要であり,治療法開発とともに,診断法の確立とくに生前確定診断法の確立が望まれている.しかしながら現在までこの生前確定診断法の技術は脳生検以外の方法は不可能であるかの如く考えられてきた.現在の診断はMR拡散強調像と髄液中の生化学マーカーにて診断率の向上がみとめられている.しかしながらこのMR拡散強調像と髄液中の生化学マーカーも確定診断法にはいたらなかった.われわれは髄液中の異常プリオン蛋白を検出する新規革新的な方法を生み出した.この方法は特異度99%であるが,感度は80〜85%であるためにさらに感度が高い14-3-3蛋白のELISAの開発に成功した.今後大規模研究による髄液検査の2つの検査の併用とMR拡散強調像による診断率の解析が望まれる.
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(臨床神経, 53:1252−1254, 2013)
key words:プリオン病,髄液,14-3-3蛋白,総タウ蛋白

(受付日:2013年6月1日)