臨床神経学

<シンポジウム(4)―2―1>片頭痛を基礎疾患とする薬物乱用頭痛の病態解明と治療

片頭痛慢性化の病態生理

柴田 護1)

1)慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160-8582 東京都新宿区信濃町35〕

片頭痛では,年間約3%の症例において慢性化が生じ,頭痛発作回数の増加と共に緊張型頭痛様の慢性頭痛や頭重感が重畳して,頭痛に悩まされる時間が延長する.一方,2年間で約1/4の患者では寛解がみとめられる.国際頭痛分類第2版以後,慢性片頭痛の診断基準が明示され,その有病率は約1%である.片頭痛慢性化の病態には不明な点が多いが,中枢においては下行性疼痛抑制系機能低下などの機序による痛覚プロセシングの異常が存在すると考えられている.トピラマートは中枢において感覚プロセシング異常を是正し,A型ボツリヌス毒素は三叉神経終末において侵害刺激受容にかかわる受容体の機能を阻害することにより有効性を発揮すると考えられる.
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(臨床神経, 53:1220−1222, 2013)
key words:片頭痛慢性化,慢性片頭痛,中枢性感作,神経原性炎症,TRPV1

(受付日:2013年6月1日)