臨床神経学

<シンポジウム(3)―6―3>神経再生医療とリハビリテーション

自家嗅粘膜移植による損傷脊髄機能再生法

岩月 幸一1)

1)大阪大学脳神経外科〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2〕

われわれは2001年にCarlos Limaらによってはじめられた嗅粘膜移植法を2008年から日本で開始し,2011年までに4例施行している.4例中2例で米国脊髄損傷協会ASIA motor scoreの改善をみとめ,また随意性の筋電図の発現をみとめている.うち1例で下肢筋においてMotor evoked potential(MEP)の発現をみとめている.2011年12月に国の先進医療の認可を受け,有効性の確認と本法の更なる改良に向けての新しい臨床研究を開始するところである.嗅粘膜は脊髄損傷の修復機転に寄与すると考えられている神経幹細胞と嗅神経鞘細胞をふくみ,神経ネットワークの再構成の場を提供しうる.
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(臨床神経, 53:1180−1182, 2013)
key words:嗅粘膜,脊髄損傷,再生医療

(受付日:2013年5月31日)