臨床神経学

<シンポジウム(2)―5―3>神経疾患におけるMR 撮像法の最先端

脱髄疾患におけるMR撮像法の最先端

原田 雅史1)

1)徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部放射線科学分野〔〒770-8503 徳島県徳島市蔵本町3丁目18-15〕

脱髄疾患は,時間的・空間的にも様々な変化を生じ,通常のMRIでは,T2強調像(T2-WI)やfluidattenuated inversion recovery(FLAIR)像で高信号を呈し,活動性のある部位では造影剤による増強効果を示すことが多い.しかし,これらの画像で明らかな異常をみとめないが,症状を呈し臨床的には脱髄性疾患と診断される病変が存在する.これらに対しては特別な撮像法であるmagnetization transfer contrast法やdiffusion tensorimaging法,あるいはMR spectroscopyといったadvanced MRIの手法が有用である.今後は病理学的な評価のみならず,分子生化学的な変化についても評価をおこなうことで,より症例ごとの詳細な病態把握が可能となり,正確な治療や予後予測などに応用できるようになると期待される.
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(臨床神経, 53:1094−1096, 2013)
key words:MRI,スペクトロスコピー,拡散テンソル,脱髄

(受付日:2013年5月30日)