臨床神経学

<シンポジウム(2)―4―3>運動ニューロン疾患の遺伝学:Update

FUS変異によるALS臨床病理と病態

青木 正志1)

1)東北大学大学院医学系研究科神経内科〔〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1〕

16番染色体に連鎖する家族性ALS(ALS6)の責任遺伝子がFUS/TLSであることが報告された.FUS/TLSは家族性ALSの原因遺伝子として,わが国ではSOD1に次いで頻度が高い遺伝子と考えられて,これまでに東北大学神経内科では解析した10家系に同遺伝子変異をみとめた.FUS/TLS変異をともなうALS全体の臨床病型としては,比較的若年発症で,経過も2年程度と進行速度が速い経過であった.5世代にわたって臨床像の詳細を知ることができたFUS/TLS遺伝子のp.R521C変異にともなう大家系では46人のうち半分にあたる23人が家族性ALSを発症しており浸透率は100%と考えられた.剖検では神経細胞内に好塩基性封入体をみとめ,これはユビキチン陽性,TDP-43陰性,FUS陽性であった.
Full Text of this Article in Japanese PDF (1247K)

(臨床神経, 53:1080−1083, 2013)
key words:筋萎縮性側索硬化症,家族性,FUS,好塩基性封入体

(受付日:2013年5月30日)