臨床神経学

<シンポジウム(2)―1―3>病態仮説に基づくアルツハイマー病治療法開発の現状と展望

タウを標的とした認知症治療の現状と展望

高島 明彦1)

1)独立行政法人国立長寿医療研究センター分子基盤研究部〔〒474-8511 愛知県大府市森岡町源吾35〕

βアミロイド沈着はアルツハイマー病に特異性のある病理像であるが神経原線維変化は認知症を呈した患者で多くみられる病理像である.神経原線維変化は青斑核,嗅内野に最初に出現し大脳辺縁系,新皮質へと拡大する.この分布の拡大は記憶障害から認知症にいたるアルツハイマー病の臨床症状の進行を良く説明する.神経原線維変化はタウ線維で構成されており,タウ線維が形成されるまでに可溶性タウオリゴマー,顆粒状タウオリゴマーを形成する.これらはそれぞれシナプス消失,神経脱落と関与することから,タウ凝集阻害剤による病態進行抑制が期待される.
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(臨床神経, 53:1040−1042, 2013)
key words:神経原線維変化,可溶性タウオリゴマー,顆粒状タウオリゴマー,タウ凝集阻害剤

(受付日:2013年5月30日)