臨床神経学

<シンポジウム(2)―1―1>病態仮説に基づくアルツハイマー病治療法開発の現状と展望

コリン仮説に基づくAD治療法開発の現状と展望

下濱 俊1)

1)札幌医科大学医学部神経内科学講座〔〒060-8543 北海道札幌市中央区南一条西16丁目291〕

1970年代後半からの神経伝達物質の研究によりアセチルコリン(ACh)作動性神経系の障害がアルツハイマー病(AD)における認知症発現の主因であるとするコリン仮説が提唱された.その仮説に基づきAChの分解を抑制しシナプス間隙のACh濃度を上昇させる目的で開発されたのがACh分解酵素阻害薬(ChEI)である.ChEIとしてドネペジルに加え2011年からガランタミンとリバスチグミンがAD治療薬として本邦でも承認された.ChEIにはsymptomatic effectだけでなく,神経細胞保護やAβ沈着抑制などADの病態そのものに作用するdisease modifierとしての作用が明らかにされている.
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(臨床神経, 53:1036−1038, 2013)
key words:アルツハイマー病,コリンエステラーゼ阻害薬,ドネぺジル,ガランタミン,リバスチグミン

(受付日:2013年5月30日)