臨床神経学

<シンポジウム(1)―4―4>iPS細胞研究の現状と展望

iPS細胞をもちいた脳梗塞の再生医療

大木 宏一1)

1)慶應義塾大学医学部神経内科〔〒160-8582 東京都新宿区信濃町35〕

脳梗塞に対する幹細胞療法には,@非神経系幹細胞の移植,A内在性神経幹細胞の活性化,B神経幹細胞の移植などが挙げられる.その中でも,「移植細胞による損傷脳組織の置換」という機能回復機序に重点をおくなら,神経幹細胞をもちいる手法がもっとも効果的と考えられる.筆者らは,ヒトiPS細胞由来神経幹細胞を脳梗塞モデル動物に移植する基礎研究をおこない,移植により機能回復がえられ,移植細胞が腫瘍形成せずに機能的・形態的に成熟した神経細胞に分化したことを証明した.本シンポジウムでは,今後の臨床応用へ課題もふくめ,iPS細胞をもちいた脳梗塞の再生医療について述べていく.
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(臨床神経, 53:1017−1019, 2013)
key words:iPS細胞,脳梗塞,幹細胞療法,神経再生,臨床応用

(受付日:2013年5月29日)