臨床神経学

原著

初発てんかん性けいれん発作の臨床的特徴と経過:
高齢者と非高齢者との比較

川上 治1)*, 古池 保雄2), 安藤 哲朗1), 杉浦 真1), 加藤 博子1), 土方 靖浩1), 鈴木 将史1), 稲垣 智則1)

Corresponding author: JA 愛知厚生連安城更生病院神経内科〔〒446―8602 愛知県安城市安城町東広畔28番地〕
1)JA愛知厚生連安城更生病院神経内科
2)中部大学生命健康科学部

高齢発症のてんかん性けいれん発作の臨床的特徴および経過を明らかにするため,後ろ向き調査をおこなった.当院にてEEG測定した15歳以上の患者457名(60歳以上高齢群236名,59歳以下非高齢群221名)に対し,非てんかん性発作を除外,発作の原因,発作後30日と1年の生存率とその危険因子を検討した.急性症候性発作は高齢群で多く,30日および1年死亡率は高齢群,非高齢群とも非誘発性発作より有意に高かった.高齢者は多要因で発症したばあいとくに転帰不良であった.重積状態は短期転帰は不良,長期転帰に影響しなかった.高齢者の初発発作は急性疾患に誘発されることが多く注意が必要である.
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(臨床神経, 52:633−641, 2012)
key words:高齢者,てんかん性けいれん発作,急性症候性発作,非誘発性発作,てんかん

(受付日:2011年10月17日)