臨床神経学

症例報告

MRI T2強調画像で脊髄病変の低信号域をみとめ,出血性病変がうたがわれた血管内大細胞型B細胞リンパ腫の1例

石川 知子1)*, 緒方 優子2), 津田 淳子3), 後藤 勝政1), 菊池 博2)

Corresponding author: 国立病院機構西別府病院神経内科〔〒874―0840 大分県別府市大字鶴見4548番地〕
1)国立病院機構西別府病院神経内科
2)同 血液内科
3)同 皮膚科

症例は脊髄病変を有し,皮膚生検で血管内大細胞型B細胞リンパ腫と確定診断した79歳女性である.MRI T2強調画像で高信号を呈していた脊髄病変に低信号域もみとめ,出血性病変をともなっていることがうたがわれた.その機序として異型リンパ球と血管内皮細胞の相互作用が考えられ,さらに,出血性梗塞,あるいはrituximabと腫瘍細胞の反応による毛細血管内皮の破綻が関与している可能性も考えられた.本疾患の脊髄病変にMRI T2強調画像で低信号をみとめた報告はまれであり,貴重な症例と考えられた.
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(臨床神経, 52:344−350, 2012)
key words:血管内大細胞型B細胞リンパ腫,脊髄病変,皮膚生検,出血,MRI T2強調画像

(受付日:2011年9月17日)