臨床神経学

症例報告

筋萎縮が頸筋と上肢帯筋にほぼ限局してみとめられた抗SRP抗体陽性多発筋炎の1例

三輪 道然, 中村 由紀, 長坂 高村, 新藤 和雅, 瀧山 嘉久

Corresponding author: 山梨大学医学部神経内科〔〒409―3898 山梨県中央市下河東1110〕
山梨大学医学部神経内科

症例は29歳男性である.27歳頃より頸部の筋力低下を自覚し,健診にて高CK血症を指摘され,当院を受診.頸部と上肢帯の高度の筋力低下と筋萎縮をみとめ,血中CK値は9,159IU/lと上昇していた.四肢近位筋で実施した針筋電図は,当初,筋疾患に典型的な低振幅MUPがめだたなかったが,経過中に徐々に低振幅MUPとなった.血中抗SRP抗体陽性で,三角筋生検は壊死性ミオパチーの所見であり,多発筋炎と診断した.プレドニゾロンとタクロリムスにより,症状は軽減した.本症例は,慢性の経過で頸部と両上肢帯の高度の筋力低下・筋萎縮をみとめながら,下肢はほとんど障害されておらず,過去の報告例と比較し,特徴的な症例と考えられた.
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(臨床神経, 52:234−238, 2012)
key words:多発筋炎,抗SRP抗体,筋萎縮,筋電図,筋原性変化

(受付日:2011年6月14日)