臨床神経学

短報

ヒト・プラセンタ・エキス投与と関連があると思われたreversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)の1例

松山 友美, 佐竹 真理恵

Corresponding author: 国家公務員共済組合連合会浜の町病院神経内科〔〒810―8539 福岡市中央区舞鶴3丁目5番27号〕
国家公務員共済組合連合会浜の町病院神経内科

症例は44歳の女性である.44歳の3月上旬に更年期症候群の症状緩和・美白効果を目的にヒト・プラセンタ・エキス皮下注を2日に1回計6回を受けた.初回投与18日目に突然雷鳴様頭痛が出現,第4・第6病日にも眼球の奥をえぐるような激しい頭痛が出現した.発熱・項部硬直はみとめず,髄液・頭部CTも正常だった.頭部MRAで右中大脳動脈と両側前大脳動脈に分節状の多発性狭窄をみとめた.第12病日に頭痛は消失,頭部MRA再検で多発性脳血管狭窄はほぼ消失しており,reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)と診断した.本症例ではヒト・プラセンタ・エキスにふくまれている女性ホルモンがRCVSの発症要因の一つと考えられた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (368K)

(臨床神経, 52:182−185, 2012)
key words:可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS),雷鳴様頭痛,ヒト・プラセンタ・エキス,女性ホルモン

(受付日:2011年8月24日)