臨床神経学

<教育講演(1)―6>

脳波と画像の相関

飛松 省三

九州大学大学院医学研究院脳研臨床神経生理〔〒812―8582 福岡市東区馬出3―1―1〕

脳波と画像の相関に関して,非てんかん性脳波所見および突発波に関する生理学的知見を解説した.とくに局所および広汎性の徐波,背景脳波活動の異常,律動的徐波群発所見の意義に触れた.脳波所見は,病変の大きさ,その位置,病巣タイプ(白質vs.灰白質,高吸収域vs.低吸収域),圧排効果と相関がある.臨床的,実験的データの蓄積から,多形性デルタ活動は大脳皮質錐体細胞に由来し,それは皮質下領域からの部分的求心路遮断に基づく.片側の背景脳波活動異常は視床機能不全による.また両側性の徐波群発は皮質病巣に視床皮質回路の異常をともなう.棘波,鋭波などの突発波はてんかん原性を示し,特発性以外は画像異常をともなうことが多い.以上,脳波は脳機能検査として重要であり,神経画像所見では捉えられない機能情報を教えてくれる.
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(臨床神経, 52:848−850, 2012)
key words:脳波,神経画像,局所性徐波,多形性デルタ活動,背景脳波活動

(受付日:2012年5月23日)